ファーストリテイリングはどこまで上がるか

ファーストリテイリング(9983)の勢いが止まりません。

ファーストリテイリングの株価は、昨年末の終値44,040円でしたが、今年に入ってからは、ほぼ一本調子に上昇しており、昨日は61,970円年初来高値を付けました。

ファーストリテイリング株チャート(日足)
【ファーストリテイリング株チャート(日足)】(GMOクリック証券ウェブサイトから引用)

日本の株式市場では、新興国景気などの外部環境が不安定であることもあり、輸出などの外需株より、消費などの内需株が上昇する傾向が鮮明になっています。

円安による外国からのインバウンド消費にも湧いており、百貨店や小売りなどの内需株は、年初来高値を連発しています。ユニクロを持つファーストリテイリングも、アジアを中心として海外進出を加速しているのみならず、来日外国人による爆買いの恩恵も受けており、株価は右肩上がりとなっています。

ファーストリテイリングの株価に関する指標を見ると、連結予想PER52.1倍連結PBR7.63倍予想配当利回り0.57%と、決して割安感はありません。むしろ、株価は過熱気味とも言ってよいくらいですが、それでも買われるのは、インバウンド消費などによる内需拡大に加え、海外展開のスピードが速く、高い成長が期待できるからだと思います。

しかし、そんなファーストリテイリングですが、気になる要素もあります。

まず、7月2日に発表された、2015年6月のユニクロの国内既存店売上高は、前年同月に比べ約12%減少しました。ファーストリテイリングでは、「減収の一番大きな理由は天候不順」「今年の秋冬物の値上げについては心配していない」と説明していますが、ユニクロが海外で売上を伸ばしているとはいってもやはり売上の半分以上は国内ですので、国内既存店売上がここまで減少していることは問題です。ちなみに、ユニクロの国内既存店売上高が前年同月比で2ケタ減となったのは、20か月ぶりということです。

また、昨今の中国株下落の影響については、現時点でははっきり見えているわけではありませんが、今後の売上への影響が懸念されます。ユニクロは、中国においては2002年9月に上海に1号店を出店しましたが、その後、店舗数は急拡大し、2015年6月30日時点で368店に達しています(ちなみに同時点での日本における店舗数は843店)。

その他、韓国155店台湾55店アメリカ合衆国42店香港25店マレーシア25店シンガポール23店タイ23店フィリピン23店などとなっています。

海外のユニクロの店舗数では中国が圧倒的に多く、今後、中国の景気減速の影響が売上にどのように表れるのかに注目です。中国政府の発表では、中国の経済成長率7%と、依然として高い数字を保っていますが、7月29日の日産自動車の決算発表では、4月から6月にかけての新車販売はどんどん悪くなっており、7月はさらに悪くなっている、と中国事業を統括する執行役員が述べています。表面的な経済指標ではわからない、景気悪化を肌で感じている生の声が出てきています。

今朝の報道では、ファーストリテイリングがセブン&アイ・ホールディングスと、商品企画から製造・販売、物流まで幅広い分野で業務提携する方針を固めたとされており、ポジティブな要素も見られます。

しかし、これまでにかなりの勢いで株価が上昇してきたファーストリテイリングですので、今日のポジティブニュースには市場はプラスに反応していません。逆に、来週にも発表されるであろう7月の既存店売上高が引き続き悪い内容だと、一気に売られる可能性もあると思います。

私は昨日からファーストリテイリングの空売りに参戦していますが、来週以降の値動きに注目しています。







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内閣支持率低下というリスク

安倍内閣の支持率が低下しています。

最新の調査では、ついに不支持率支持率を上回ったというものもあります。

安倍内閣の支持率推移
【安倍内閣の支持率推移】(時事ドットコムウェブサイトから引用)

もちろんその原因は、集団的自衛権を認める安保法制を成立させたことです。私は個人的には、集団的自衛権を認めることは必要だと思っていますが、本来であれば、憲法を改正して法制化するのが筋だとは思います。

日本では、太平洋戦争で日本がアジア諸国を侵略したという歴史から、伝統的に、「平和」=「他国を侵略しないこと」と考えられがちです。そのような考え方からすれば、何もしないことこそが平和なのであり、日本を出て他の国を助ける集団的自衛権は、平和を脅かすものと捉えられます。

一方、他の多くの国、特に陸地で他国と接しているような国では、「平和」=「他国から侵略されないこと」と考えるのが普通です。そのような考え方からは、何もせずに平和を守ることはできない、自国への侵略につながるような周辺の有事には、積極的に関与すべき、という考えになり、集団的自衛権は、まさに平和のための権利であると捉えられます。

また、「平和」を「他国を侵略しないこと」と考える人は、日本の平和は憲法第9条によって維持されていると考えますし、「平和」を「他国から侵略されないこと」と考える人は、日本が平和でいられるのは自衛隊が存在することと、日米安保条約によりアメリカの核の傘に入っているからだと考えます。

今回の安保法制の考え方への賛否も、そもそも「平和」という概念の捉え方の違いが根本にあるため、なかなか議論が噛み合いません。

それはさておき、今回の安保法制の制定過程で、安倍内閣の支持率が下がってきていますが、このことは、株式市場にとっては極めて大きな脅威となります。

今の株式相場は、安倍内閣が主導する「アベノミクス」で成り立っているようなものです。もちろんその中でも最も大きな影響があったのは、日銀による金融緩和政策ですが、これも、安倍内閣と日銀とのタッグで成り立っているもので、安倍内閣が倒れてしまったら、2018年春に任期が満了する黒田総裁の後任にどのような考えの人が来るのかも見えません。

したがって、政権の安定が失われることは、株式市場の下落につながる可能性が高く、安倍政権の今後の政策運営にも、注意を払っておく必要があると思います。

このリスクは、中国景気減速アメリカ利上げと並ぶ、今後の相場を占う上での大きなリスクの一つとなりそうです。







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JPMorgan ASEANファンド

先日、香港のHSBCで作った投資口座を通じて、JPMorgan ASEAN (acc) - USDという投資ファンド(Unit Trust)を購入しました。

HSBCで扱っているJPモルガンのASEANファンドには、米ドル建て香港ドル建てオーストラリアドル建て中国人民元建ての4種類ありますが、私は基本的に米ドル建てで投資していますので、米ドル建てのファンドを購入しました。

JPMorgan ASEANファンドの基本情報
【JPMorgan ASEANファンドの基本情報】(JPMorgan Funds (Asia) Limited発行情報から引用)

このファンドは、東南アジア(ASEAN)諸国の株式に投資するファンドです。ちなみに、「acc」というのは、利益を定期的に投資家に分配することはせず、再投資するファンドという意味です。再投資された資金がさらに増えることで、複利効果を受けることができますので、私は分配型より再投資型のファンドが好みです。

私は、以前にJPMorgan India (acc) - USDというインドの株式に投資するファンドも購入していますが、ASEANもインド同様、これからの成長に期待ができます。今年末には、ASEANに加盟する10か国で、「ASEAN経済共同体」(AEC:ASEAN Economic Community)が発足する予定で、加盟国の経済状況などを踏まえながら、①市場の統合(関税撤廃等)、②政策の共通化(知的財産保護等)、③公正な経済開発(域内での格差是正等)、④グローバル経済への統合(FTAの推進等)を柱として、EUのような経済共同体を作る試みがなされます。

ASEANの加盟10か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)は、域内に総人口6億人を抱え、名目GDP1.88兆ドル一人当たり名目GDP3,107ドルとなっています。

ASEAN経済共同体により、域内の関税は一定期間を置いて撤廃され、人やモノ、サービスの行き来が自由化されて経済の活性化につながります。

ASEAN主要国の注目点と経済への影響
【ASEAN主要国の注目点と経済への影響】(三菱UFJ投信資料から引用)

JPモルガンのASEANファンドのパフォーマンスを見てみると、1983年の設定来の通算パフォーマンスは1,490%のプラスとなっており、ファンド価格が約16倍になっていますが、ここ1年で見ると、マイナス2.4%、直近1か月でもマイナス3.0%と振るいません。これは、中国の経済減速や、アメリカの利上げが迫っていることから投資資金が新興国から引き揚げられていることなどが要因となっていると考えられます。

東南アジアの経済は、今年はあまり良くなく、タイなども景気が低迷しているようですが、私は長期的視点で投資するつもりですので、今のうちにファンドに投資してみようと思いました。

目先のパフォーマンスに一喜一憂はしないつもりです。長い目で見て、大きな収穫が得られればよいと思っています。







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中国株暴落の第2波か

今日は再び中国株が大幅に下落しました。

上海市場の上海総合指数は、前週末比345.350ポイント(8.48%)安3725.558で引けました。また、上海の米ドル建てB株指数は前週末比8.20%安、深圳市場では、深圳総合指数7.00%安、香港ドル建ての深圳B株指数6.58%安、ベンチャー企業向け市場の創業板(中国版ナスダック)指数7.39%安でそれぞれ引けています。

香港市場も大幅に下落しました。

香港市場の代表的な指数であるハンセン指数は、776.550ポイント(3.09%)安24,351.960で引けました。また、H株指数3.83%安レッドチップ指数4.64%安、新興企業のGEM指数7.05%安となっています。

中国株式市場指数一覧
【中国株式市場指数一覧】(内藤証券ウェブサイトから引用)

私が唯一保有する中国本土株である、深圳B株の広東電力(200539)ですが、今日、6.00香港ドルで一部だけ売却注文が約定し、その後急速に下げたため、慌てて5.90香港ドルで残りも全部売却しました。広東電力はその後、前週末比9.98%安5.50香港ドルまで下がり、そのまま安値引けしています。

上海総合指数は、前回の急落時は7月9日に3,373ポイントまで売り込まれた後、急反発しましたが、今回はどの程度まで下げるのか、非常に興味深いです。明日以降、さらなる下げで前回の下値を下回ってくるようだと、世界の株式市場にも大きな影響が出てくると思います。

アメリカ株も、今年中にアメリカで利上げがなされる可能性が高いことから、株価が調整しています。日本市場は、特別企業業績が悪化しているわけではありませんが、アメリカ市場、中国市場の影響を受けますので、この先しばらくは、上値の重い展開が続くと思います。







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貿易収支が改善

財務省が7月23日に発表した6月貿易統計速報では、貿易収支690億円の赤字と、3か月連続の貿易赤字でした。

しかし、前年同月は8341億円の赤字、前月(5月)は2172億円の赤字であったことを考えると、日本の貿易収支は、大幅に改善しています。

貿易収支の月別推移
【貿易収支の月別推移】(日経新聞ウェブサイトから引用)

6月は、原油や液化天然ガス(LNG)の価格下落を受けて輸入額が減る一方、円安で外貨建て輸出の円換算額が膨らみました。7月は、足元では原油価格がさらに下落しており、輸入額がさらに減少する可能性があります。そうすると、7月には、貿易収支が黒字化することも考えられます。

併せて発表された今年1~6月期の半期の貿易収支は、1兆7251億円の赤字でした。半期ベースの赤字は9期連続ですが、半期の赤字額は前年同期から約77%減っており、3年半ぶりの低水準となっています。

貿易収支の半期別推移
【貿易収支の半期別推移】(時事ドットコムウェブサイトから引用)

半期ごとの貿易収支の推移を見ると、2011年上半期赤字に転落して以降、2014年上半期まで赤字額は増加する一方でしたが、それ以降は急速に赤字額が減ってきていることがわかります。

7月18日の記事「アメリカの利上げは円安の終わりか」で書いたように、私は、今年中に実現するであろうアメリカの利上げをきっかけとして、これまでの円安から円高への転換が始まると予想しています。

貿易収支は、為替レートの変動に影響を与える要素となります。貿易赤字の減少、黒字化は、外貨を日本円に換える動きに結びつくため、一般的には円高要因となります。

アベノミクスが始まり、円安が進行し始めたのは2012年秋からですが、現在まで続く円安の流れがスタートした時期は、貿易収支が赤字に転落してから、1年半ほどのタイムラグを経ていることになります。

貿易赤字が増加から減少に転じたのは2014年下半期からですので、そこから1年半ほどのタイムラグを加えると、2016年上半期ごろから円高に転換するという考え方ができます。

もちろん、今回の円安の流れは、量的金融緩和という日銀の金融政策によるところが大きく、貿易収支の動きだけで円高転換になると予想できるものではありません。しかし、貿易収支は、円安になれば輸出拡大・輸入抑制の力が働くため黒字方向に向かい、円高になれば輸出抑制・輸入拡大の力が働くため赤字方向に向かう性質があります。その意味では、貿易収支為替相場には、相関関係があるのです。

また、以前の記事にも書きましたが、①アメリカの利上げが既に為替相場に折り込まれていること、②実質実効為替レートの観点から現在の為替相場が歴史的な円安水準であることから、2015年後半から2016年前半にかけて、為替相場が円高に転換すると考えるだけの根拠は、十分にあります。

したがって、貿易収支が改善に向かっていることは、円高転換説を裏付けるものとしても、説得力のあるものといえます。

ちなみに輸出額と輸入額の差から算出される貿易収支に、サービスの収支や所得収支(対外直接投資による収益等)を加味した「経常収支」では、日本は既に黒字となっており、今年に入って黒字額も大きくなっています。

経常収支の月別推移
【経常収支の月別推移】(時事ドットコムウェブサイトから引用)

日本の財政赤字円安要因となりますが、経常収支が黒字化していることで、お金が日本国内に流れ込んでいることは確かです。この流れが続けば、今のペースでどんどん円安が進むということはないと考えています。

もちろん、将来的に日本の財政に再建の目途がたたなくなり、国債が暴落するようなことになれば話は別です。そうなれば、ハイパーインフレ、ハイパー円安という結末が待っていることになると思います。

為替の将来を見通すことは大変難しいので、常にいろんな情報を集めておく必要があると思います。







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金価格が大幅下落

金価格が大幅に下落しています。

先日、ギリシャの支援問題が合意に達し、ギリシャ国内での法制化手続も無事完了したということで、当面のユーロ離脱危機を脱しました。

そのことを受けて、金の国際価格は大幅に下落しました。金はもともと「有事の金」と言われるように、通貨危機など、特に通貨に対する信用が下がったときには、代用通貨として買われる傾向があります。

ギリシャ危機により下がっていたユーロへの信頼が、危機脱出により(一時的にせよ)高まったため、代わりに金が下がったという構造です。

金価格の下落は、アメリカの利上げとも関係しています。

先日のイエレンFRB議長の発言により、アメリカの利上げが今年中に実施される公算が高まりました。金は利息を生みませんので、金利が高くなると、金は売られ、高金利通貨へとお金は流れます。

こうしたことが重なって、金の大幅下落につながったものとみられます。

金価格チャート(1年間)
【金価格チャート(1年間)】(BullionVaultウェブサイトから引用)

金の国際価格は、2015年1月21日1,300米ドル/トロイオンスにまで上昇していましたが、今朝は1,100米ドルを一時割り込むまでに急落しました。

この下落がどこまで続くのか、一時的なものなのかについては、正直私も予想できません。

ただ、長期的に見て、私は、金価格はこれからもっと上がっていくと思っています。リーマンショック以降、世界的な金融緩和競争で世の中にお金が溢れかえった状況で、お金の価値はどんどん下がり(つまりインフレ)、金の価格は上昇していくだろうと予想しています。

その意味では、今回の金価格急落は、金の買い場なのかもしれません。







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アメリカの利上げは円安の終わりか

アメリカの利上げが、いよいよ年内に始まることがほぼ確実になってきました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、7月15日の米議会下院金融サービス委員会で、利上げ開始時期について「経済が予想通りに改善すれば、年内のいずれかの時点で利上げが適切になる」との認識を示しました。

アメリカが利上げをすることは、米ドル高・円安要因であると言われており、利上げが現実的なものとなったことで、円安がさらに進行するという見方もあるようです。

しかし、私は、実際にアメリカが利上げを行った場合、円安はそれ以上進まないのではないかと考えています。むしろ、2012年末から始まった円安の流れが変わり、円高が始まるきっかけになるのではないかと思っています。

その理由は、以下の2つです。

①既にアメリカの利上げが為替相場に折り込まれ尽くしている
②実効実質為替レートの観点から、既に歴史的な円安となっている


まず、①の点についてですが、アメリカが2012年9月から始めたQE3と呼ばれる第3次量的金融緩和が終了し、利上げが言及されるに至った経緯を、以下にまとめてみます。

2013年5月22日
FRBのバーナンキ議長が上下両院合同経済委員会で証言を行ったが、その後の質疑応答において、「今後数回のFOMC(米連邦公開市場委員会)で債券購入ペースを落とすことがありえる」と発言。量的金融緩和の縮小を示唆したものとして、市場に大きなショックを与えた(翌5月23日に日経平均が1,143円安の大暴落)。

2013年12月18日
FOMCにて、2014年1月から債権購入額を毎月850億ドルから750億ドルに縮小するという、量的金融緩和の縮小が決定された。

2014年1月29日
FOMC後の声明で、2月から債券購入額を毎月750億ドルから650億ドル縮小することが発表された。

2014年3月20日
イエレン氏がFRB議長に就任後初めて開催されたFOMCにて、毎月の債権購入額を650億ドルから550億ドル縮小するすることが決定されたが、FOMC後の会見にて、イエレン議長が、量的緩和の終了時期を今秋頃とし、その6か月後に金利の引き上げを開始する可能性があることを示唆した。イエレン議長は「状況次第」とも付け加えたが、利上げの時期について具体的な発言があったものとして、市場にサプライズの反応をもたらした(その後のNY為替市場で米ドル円が102円前半から102.69円まで急上昇)。

2014年4月30日
FOMC後の声明で、5月から債券購入額を毎月550億ドルから450億ドル縮小することが発表された。

2014年9月17日
FOMC後の声明で、同年10月の会合で量的緩和を終了する見通しが明らかにされた。

2014年10月29日
FOMCが、量的緩和第3弾(QE3)の終了を決定した。

QE3が終了した後も、FRBが事実上のゼロ金利政策を「相当な期間(considerable time)」維持するとしている文言について、それがどのくらいの期間かについて、議論され続けてきました。

2013年4月に日本銀行が異次元の量的金融緩和に踏み切り、翌5月にアメリカの量的金融緩和政策(QE3)の縮小が示唆されて以来、米ドル円相場は、日米の金融政策の違いが明確になったことで、米ドル高・円安の動きが決定的なものとなりました。

その後、米ドル円は上昇の一途をたどりましたが、2014年10月に日銀が追加金融緩和を行ったという日本の事情も介在していますが、この米ドル高は、アメリカの金融緩和縮小・終了そして利上げを折り込んだ動きであることも確かです。

実際に、2013年以降の米ドル円相場の動きを見てみます。

米ドル円相場チャート(週足)
【米ドル円相場チャート(週足)】(株探ウェブサイトから引用)

日銀が量的金融緩和に踏み切り、アメリカで量的金融緩和の縮小が示唆され始めた2013年4月~5月頃の相場は、まだ1ドル=90円台後半でした。その後、アメリカで実際に量的金融緩和の縮小が始まり、米ドル円もじりじりと上昇を続けていましたが、FRBのイエレン議長が初めて具体的に利上げの時期について言及した(口を滑らせた?)2014年3月でも、まだ米ドルは1ドル=100円台前半でした。

その後は、アメリカで利上げが実際に始める時期を巡っていろんな観測が出てきており、市場も利上げを徐々に折り込んでいくことになります。そして日本で2014年10月に追加金融緩和が発表されてからは、米ドルは一気に120円台まで駆け上がり、今に至っています。

このように、アメリカで利上げが具体的に意識され始めてから、既に1年3か月以上は経っており、当初は2014年秋頃に始まると思われていた利上げは、いつかいつかと言われながら、未だに実現していません。

その間、米ドル円は一貫して上昇しており、上記のイエレン発言からの約1年4か月の間に、ドルは20円くらい上昇しています。

したがって、アメリカの利上げは、既にかなりの部分が為替相場に折り込まれていると考えられます。

相場格言に、「噂で買って事実で売る」という言葉があります。市場は、予想される事態をあらかじめ折り込んで上がり(下がり)、実際に予想された事実が発生すると、逆に材料出尽くしで売られる(買われる)という意味です。米ドル円も、既に利上げをかなりの部分で折り込んでいると考えられますので、実際に秋に利上げが始まると、そこから円高に反転するきっかけになってもおかしくないと思います。

次に②の点についてですが、以前、「黒田総裁の円安限界発言の意味」という記事(2015年6月11日)でも書きましたが、今の円の水準は、実質実効為替レートの観点からは、歴史的な円安水準にあります。

実質実効為替レート指数の推移
【実質実効為替レート指数の推移】(日本銀行ホームページより引用)
青線:実質実効為替レート指数(2010年=100としたもの)
  赤線:米ドル円為替レート(1米ドルあたりの円・月中平均)
  グレーの帯が付いている期間は景気後退期

上記のチャートは円の実質実効為替レート指数(2010年=100とする)と実際の米ドル円の動きを示したものですが、現在の円の水準は、実質実効為替レートの観点からは、1米ドルが200円以上していた1980年代前半よりも円安です。

これまで過去3年近くにわたって円安が進み、実質実効為替レートの観点からここまで円安が進んでしまったという事実からは、今後、揺り戻しの動きがあってもおかしくはありません。

これまで、アメリカには、金融緩和の縮小、終了、そして利上げと、米ドル高の要因となるイベントが常に未来に控えている状態でしたが、利上げが開始されてしまうと、米ドル高要因が出尽くした状態になります。そうなれば、これまで歴史的水準まで円安に振れていた円は、円安に引っ張られる力を失い、一気に反動が来るという可能性があります。

為替相場の将来に対しては、プロの市場関係者の間でも意見が分かれていますが、私は、今年後半から来年始めぐらいが円安のピークになり、その後は反動として円高が進むと予想します。

そして、アベノミクスが始まる直前の1ド=78円前後から直近の1ドル=125円前後まで円安が進んだ反動としては、3分の1戻しとしても、1ドル=110円割れ(105~110円)くらいまでの円高になる可能性があると考えています。

ちなみに、最近発売された「週刊エコノミスト」7月21日特大号では、「円高が来る」というタイトルで、円安トレンドの終焉と円高時代の到来を予測する記事が出ています。大変興味深い内容です。





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危機の先延ばし

ギリシャでは、ようやく債権者団による財政再建策の国内法制化が実現し、ギリシャ危機は一段落しました。

また、中国では、政府によるIPO延期、大株主による株式売却規制、悪質な空売りへの調査、証券会社を通じた株式買入れなど、あらゆる手を使った株価下落対策により、株式市場の暴落はいったんは小康状態となっています。

しかし、ギリシャにしても中国にしても、問題の根本的な解決はできていません。

ギリシャは、外圧により強制された財政再建策を受け入れましたが、これが順調に履行されて本当に財政再建できるかというと、まず無理だと思います。

彼らは、ギリシャがユーロ圏から離脱したら他のユーロ圏諸国が困ることをよく知っています。したがって、また財政危機になれば、また助けてもらえると考えていることでしょう。

今回、ギリシャは3年820億ユーロ(約11兆円)を超える支援を受けることができますが、おそらく、3年後にはまた危機がやってくると思います。そしてその債務額は、救済が行われるたびに巨額になっていき、危機のたびに問題が大きくなっていくのです。

3年間の救済の期限は2018年です。日本もオリンピック開催に向けて経済が上がっていく可能性があり、株価も今より上昇していることが十分にありえます。ギリシャの再度の危機により、世界の市場は再び荒れる可能性がありますので、この頃が一つの大きな売り時になるかもしれません。

中国については、政府による今回の株価対策は、問題を解決するどころか、より複雑化したと思います。株価が下がるのはマーケットの需要と供給のバランスによって生じたことであり、本来は、株価がファンダメンタルに近づいていく健全な過程です。しかし、中国政府は力づくでマーケットを支配し、価格を操作しようとしました。このことが、中国本土株式市場に対する投資家の信頼を失ったことは明白です。

必要もないのに取引停止になった銘柄が続出したことにより、ファンドによる換金が難しくなり、投資家からのファンド解約に応じにくくなっているという話も聞きます。こんなことをしていたら、中国市場に投資する機関投資家はいなくなってしまいます。

実際、私が投資している深圳B株「広東電力」(200539)は、株価が暴落する前の6月5日を最後に取引停止になってしまい、未だに売却することができません(広東電力の場合、取引停止の理由はA株の第三者割当増資を検討しているため、となっています)。

広東電力株チャート(日足)
【広東電力株チャート(日足)】(内藤証券ウェブサイトから引用)

私は広東電力を2万株保有していましたが、5月26日9.00香港ドル1万株を売却、残り1万株が取引停止により売却不能となってしまいました。その後、6月末に10株につき2株の株式分割(無償交付)が行われ、持株数が1万2000株に増えました。

株式分割により、取引停止前の株価9.37香港ドル7.8香港ドル程度に調整されると思いますが(上記のチャートでは調整後の株価で表示されています)、先日の暴落の間は一切取引されていませんので、いざ取引が再開したら、いったい株価がどうなるのか予想もできません。

中国株は、今後しばらくは政府の意向を受けて上昇するかもしれませんが、いつかは大暴落すると思います。そしてそのときは、それまでに政府が無理やり株価を維持し続けてきたツケをいっぺんに払わされることになり、歴史的大暴落になる可能性があります。

そうなれば、世界のマーケットにも甚大な影響が及ぶことが避けられません。いつそれが起きるか予想ができませんので、その意味では、ギリシャ以上のリスクになると思います。







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トヨタ自動車

トヨタ自動車(7203)に投資妙味がありそうです。

トヨタ自動車の株価は、今年3月24日8,783円の年初来高値を付けた後は8千円台前半で推移し、先週ギリシャが破たん危機に直面した際には、一時的に7,630円の瞬間安値を付け、その後は一気に8千円台を回復しています。

トヨタ自動車株チャート(日足)
【トヨタ自動車株チャート(日足)】(GMOクリック証券ウェブサイトから引用)

今日は前日比88円(1.08%)高8,201円で引けています。

トヨタ自動車の業績推移を見ると、アベノミクスによる円安の追い風を受けて、極めて順調に利益を伸ばしています。

トヨタ自動車業績推移
【トヨタ自動車業績推移】(GMOクリック証券ウェブサイトから引用)

上記は会社四季報の情報として掲載されているものですが、トヨタ自動車の今季の業績見通しは、売上高28兆円(会社予想は27兆5000億円)、営業利益2兆9800億円(同2兆8000億円)、純利益2兆3800億円(同2兆2500億円)というもので、前期と比べ、純利益9.5%増益が予想されています。

さらに、来期(2017年3月期)においても、売上、営業利益など全ての指標で今季を上回る予想がなされており、純利益は、2兆5500億円と、今期予想比で7.1%増益と予想されています。

今期(2016年3月期)の会社四季報予想をベースとした現在の株価のPER(株価収益率)10.8倍、配当は200円~225円と予想されているため、配当利回り2.44%~2.74%となります。

これらの数字は、トヨタ自動車の株価が過去最高水準にあることを考慮してもなお、割安感があると判断するのに十分な内容です。来季の業績がさらに上積みされるという前提に立てば、株価は今後、1万円を目指していくと考えても良さそうです。

また、私がトヨタ自動車への投資に今がチャンスと思う理由は、もう一つあります。

それは、AA型種類株式の発行に合わせて実施される、4710万株を上限とする自社株買いが、7月27日から実施されるということです(期間は2016年3月31日まで)。

今回、元本保証型のAA型種類株式が4710万株発行されることになったため、既存株主の希釈化懸念を払拭するために、同数の普通株式の自社株買いが実施されます。

AA型種類株式については、以前の記事「トヨタ自動車の新型種類株式」でも書いたように、普通株式に転換することを期待して持つというよりも、利回りのよい社債として購入するのに適した商品です。

そのため、AA型種類株式を購入する投資家は、もともと株式などのリスク商品には手を出したくない投資家が多いと思われ、トヨタ自動車の普通株式を購入する投資家とは層が異なっていると思います。

したがって、今回のAA型種類株式の発行によって、トヨタ自動車の普通株式に売り圧力がかかるような事態は、もともと想定されていません。にもかかわらず、会社が同数の普通株式を自社株買いすることは、トヨタ自動車株の需給には大変プラスになるといえます。

4710万株は、トヨタ自動車の発行済株式総数の約34億株(自己株式を含む)からすれば、わずか1.4%程度ですが、1日の出来高が数百万(今日は約710万株でした)であることを考えると、まるまる数営業日分の出来高に匹敵するもので、そのインパクトは小さくありません。

これから7月27日の自社株買い開始に向けて、投資家の先回り買いもあるかもしれません。トヨタ自動車株は、今が一番の買い時かもしれません。

最後に、直近のトヨタ自動車(7203)のレーティングをまとめてみました。

7月14日 三菱UFJモルガン「強気」目標株価10,450円→9,850円
7月9日 日興証券「強気」目標株価10,000円→10,500円
7月7日 バークレイズ証券「強気」目標株価9,600円→9,800円


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ギリシャ支援策で合意成立

紆余曲折を経たギリシャ支援問題は、ようやく合意にこぎつけることができたようです。

今日、ユーロ圏首脳会議において、ギリシャへの支援内容が合意されました。ギリシャ議会が15日までに財政改革案を法制化し即時実行することを条件に、今後3年間約820億ユーロ(約11兆円)から860億ユーロの金融支援を行うことを内容としたものです。

資本規制により経営危機に陥っているギリシャの銀行に対しても、250億ユーロの資本増強が実施されるようです。

これらの金融支援は、15日までにギリシャの議会が財政改革案を法制化することを条件としたものであり、依然として、確実に実施されることが決定したわけではありません。しかし、ギリシャとしてみれば、財政改革案を受け入れて法制化すれば金融支援を受けられることをぶら下げられている以上、これを拒否するという選択肢はないと思います。

先日来、資本規制により国民が大変な困難を強いられたばかりですので、さすがのギリシャも、今回提案されている金融支援策を棒に振ってまで、財政改革案を拒否するとは思えません。

この一方を受けて、外国為替相場では、ユーロが急伸しました。しかし、急伸したのはわずかの間で、わずか1時間半後には、ユーロ円は元の水準に戻ってしまいました。

ユーロ円相場チャート(5分足)

【ユーロ円相場チャート(5分足)】(GMOクリック証券Platinumチャート画面より引用)

この動きは私にはちょっと意外でした。ギリシャ支援が合意に至れば、とりあえずはユーロ買いとなるのかと思っていましたが、ここまでユーロは133円台から上昇していましたので、いったんは材料出尽くしとなったのではと思います。

株価に関しては、合意成立は、素直にプラスに働くのではないかと思います。夜間の日経先物市場では、9月物の先物は、今日の日経平均終値より200円ほど高い、20,300円前後で推移しています。

しかし、日経新聞電子版の「ギリシャ支援合意、円安と株高進行か 市場関係者に聞く」を読んでいると、「油断は禁物、円は当面レンジ相場」「短期的には歓迎、持続性は不透明」といった慎重な見方が多かったです。

私はこの「市場関係者に聞く」というコーナーで取り上げられる市場関係者の声は、あまりアテにしていません。むしろ、強気の声が多いときには相場が頭打ちし、弱気な声が大きいときに限って相場が上がることも多いため、逆説的な見方さえしています。

今回、意外なほどユーロ相場が反応しなかったこと、市場では株価への好影響も一時的、との声が比較的多いことは、むしろ「相場は懐疑の中で生まれる」という格言のように、上げ相場の兆候ではないかと思えています。

中国株がいったん下げ止まったとはいえ、政府によるなりふり構わぬ株価対策によって何とか持ちこたえている感もありますので、先行きはまだ安泰ではありません。ここから株価が上昇に向かっていくのか、予想の難しい展開になりそうです。







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金持ち父さんを目指して日々勉強&実践に励む過程を記録したブログです。2014年9月9日にスタートしました!
目標は、働かずして旅行三昧できる億万長者になること。
株式投資・為替・不動産・保険・法律・税金・読書・旅行など、興味ある様々な分野について考えていること、実践したことを書き綴ります。

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